悲しみが残る…。映画「オッペンハイマー」。中盤で「ジャパン」「ジャパニーズ」という言葉が飛び交うたびにドキッとして、他人事ではない感覚にソワソワした。
実験で上がるキノコ雲のシーン…涙がにじむ…。この実験の先に、広島や長崎に犠牲者があふれることを思うと、悲しすぎる。
原爆投下後。オッペンハイマーが観衆の喝采を浴びて登場するシーン…。彼の葛藤は、なるほど確かにそういう感覚に苛まれたのかもしれない。でも、それよりも、満面の笑みで、拍手で、足踏みでオッペンハイマーを迎える人々…。そうだよねー、そうなるよねー。
この上なく悲しくて涙があふれる…。だから、戦争の結末は結局こうなる。勝てば喜び叫ぶ。負ければ泣き叫ぶ。いったいどこになんの勝利があることか。
1人の科学者を取り巻く人間模様、葛藤、高揚、罪悪感、称賛、陰謀の数々。映画の世界観で知ることができたのは収穫。
そういえば、
「IMAXで見たほうがいいよ!音楽も映像もいいから。フィルム使ってるしねー」
とすすめられたが、映像や音楽をさて私は堪能できたのだろうか。話に集中しすぎて、映像美のようなものは実感できていないけれど、話に集中できたということは、それだけ魅せられたということ。結果的にIMAXで観てよかったかな。